水質汚濁に係る水質環境基準の見直しについて
1.改正の概要
①六価クロム
水質汚濁に係る環境基準(昭和46年12月環境庁告示第59号)及び地下水の水質汚濁に係る環境基準について六価クロムの基準が改正されました。
②大腸菌群数
水質汚濁に係る環境基準(昭和46年12月環境庁告示第59号)について大腸菌群数に代わって大腸菌数の環境基準と測定方法が示されました。
2.改正背景
① 六価クロム
内閣府食品安全委員会において、六価クロムの一日の耐容摂取量1.1μg/kg体重/日が設定されたことにより、水道水質基準が0.05mg/Lから0.02mg/Lに改正されました。それを踏まえ「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等」も改正されることとなりました。
② 大腸菌群数
大腸菌群数の測定値は、ふん便汚染のない水や土壌に分布する自然由来の細菌も検出されると考えられ、ふん便汚染を的確にとらえていない状況があります。大腸菌群に係る環境基準が制定された当時の培養技術には大腸菌を簡便に検出する技術がなかったが、今日では簡便な大腸菌の培養技術が確立されていることから、大腸菌群数に代わって大腸菌数に基準値と測定方法が改正されることとなりました。
3.改定の内容
① 六価クロムの基準値の変更
物質名 |
新たな基準値 |
現行の基準値 |
---|---|---|
六価クロム |
0.02mg/L以下 |
0.05mg/L以下 |
② 大腸菌数(新規項目)の基準値
◇環境基準値【河川】
類型 | 利用目的 の適応性 |
大腸菌数環境基準値 [90%水質値] |
基準値の導出方法 |
---|---|---|---|
AA | 水道1級 自然環境保全 及びA以下の欄に掲げるもの |
20CFU/100ml以下 備考2 |
・水道1級の水道原水及び自然環境保全の実態から基準値を導出 |
A | 水道2級 水浴 及びB以下の欄に掲げるもの |
300CFU/100ml以下 | ・水道2級の水道原水の実態及び諸外国における水浴場の基準値等を参考に基準値を導出 |
B | 水道3級 及びC以下の欄に掲げるもの |
1,000CFU/100ml以下 | ・水道3級の水道原水の実態から基準値を導出 |
備考 | |||
1 大腸菌数に係る基準値については、90%水質値(年間の日間平均値の全データをその値の小さいものから順に並べた際の0.9×n番目(nは日間平均値のデータ数)のデータ値(0.9×nが整数でない場合は端数を切り上げた整数番目の値をとる。))とする(湖沼、海域もこれに準ずる。)。 | |||
2 水道1級を利用目的としている地点(自然環境保全を利用目的としている地点を除く。)については、大腸菌数100CFU/100ml以下とする。 | |||
3 水産1級、水産2級及び水産3級については、当分の間、大腸菌数の項目の基準値は適用しない(湖沼、海域もこれに準ずる。)。 | |||
4 大腸菌数に用いる単位はCFU(コロニー形成単位(Colony Forming Unit))/100mlとし、大腸菌を培地で培養し、発育したコロニー数を数えることで算出する。 |
◇環境基準値【湖沼】
類型 | 利用目的 の適応性 |
大腸菌数環境基準値 [90%水質値] |
基準値の導出方法 |
---|---|---|---|
AA | 水道1級 自然環境保全 及びA以下の欄に掲げるもの |
20CFU/100ml以下 備考1 |
・水道1級の水道原水及び自然環境保全の実態から基準値を導出 |
A | 水道2、3級 水浴 及びB以下の欄に掲げるもの |
300CFU/100ml以下 備考2 |
・水道2、3級の水道原水の実態及び諸外国における水浴場の基準値等を参考に基準値を導出 |
備考 | |||
1 水道1級を利用目的としている地点(自然環境保全を利用目的としている地点を除く。)については、大腸菌数100CFU/100ml以下とする。 | |||
2 水道3級を利用目的としている地点(水浴又は水道2級を利用目的としている地点を除く。)については、大腸菌数1,000CFU/100ml以下とする。 | |||
3 大腸菌数に用いる単位はCFU(コロニー形成単位(Colony Forming Unit))/100mlとし、大腸菌を培地で培養し、発育したコロニー数を数えることで算出する。 |
◇環境基準値【海域】
類型 | 利用目的 の適応性 |
大腸菌数環境基準値 [90%水質値] |
基準値の導出方法 |
---|---|---|---|
A | 水浴 自然環境保全 及びB以下の欄に掲げるもの |
300CFU/100ml以下 備考1 |
・諸外国における水浴場の基準値等を参考に基準値を導出 |
備考 | |||
1 自然環境保全を利用目的としている地点については、大腸菌数20CFU/100ml以下とする。 | |||
2 大腸菌数に用いる単位はCFU(コロニー形成単位(Colony Forming Unit))/100mlとし、大腸菌を培地で培養し、発育したコロニー数を数えることで算出する。 |
②-1 大腸菌数の測定方法
詳しくはこちらをご確認ください。
4. 適用期日
令和4年4月1日より施行
詳しくはこちらをご確認ください。
環境省_水質汚濁に係る環境基準の見直しについて(お知らせ) (env.go.jp)