水道用薬品分析
水道法では、原水の浄水処理過程で使用する水道用薬品が、水道水質に悪影響を及ぼさない評価をする基準(水道施設の技術的基準を定める省令別表第一)が定められています。
クリタ分析センターでは、水道水分析で培った分析技術と品質管理体制を活かし、水道用薬品類の評価のための試験方法ガイドラインに沿った水道用薬品の分析を実施しています。
水道用薬品の種類
原水の浄水処理過程で使用される水道用薬品には、有機物・無機物・濁りなどを除去するための凝集剤や、病原性・有害性のある微生物を除去する消毒(殺菌)剤などがあります。薬品の種類によって必要な分析項目が異なる場合があります。
水道用薬品の一例
種類 | おもな作用 |
---|---|
硫酸アルミニウム(硫酸バンド) | 凝集剤 |
ポリ塩化アルミニウム(PAC) | 凝集剤 |
塩化第二鉄(塩化鉄(Ⅲ)) | 凝集剤 |
ポリアクリルアミド | 凝集補助剤 |
次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸ソーダ) | 殺菌剤、消毒剤 |
二酸化塩素 | 殺菌補助剤、消毒補助剤 |
硫酸 | 酸処理 |
水酸化ナトリウム(苛性ソーダ) | アルカリ処理、防食剤 |
粉末活性炭 | 吸着処理 |
水道用薬品分析の流れ
1.最大注入率(使用時の最大濃度)の設定
実際に水道用薬品として使用した際の影響を評価するために、最大注入率(使用時の最大濃度)を設定し、その時に基準値を満たしているかの確認をすることが必要となります。最大注入率(使用時の最大濃度)は、薬品の種類や浄水処理能力によって変わるため、お客様との協議の上で決定させて頂きます。
2.試験溶液の調製
最大注入率(使用時の最大濃度)の10倍濃度になるように水道用薬品を調製します。
10倍する理由は、おおよそ水質基準の10分の1である評価基準の値を、1桁下まで定量するために、設定最大注入率の10倍濃度の試験溶液を調製します。
3.分析評価
分析は「水道用薬品類の評価のための試験方法ガイドライン(厚生労働省健康局水道課)」及び、「JWWA Z 109 水道用薬品の評価試験(社団法人 日本水道協会)」に沿って分析を行います。
原則として浄水工程で水道水に直接注入されるすべての水道用薬品は、「水道施設の技術的基準を定める省令別表第一[PDF]」のすべての基準を満たしていることを確認する必要があります。ただし、以下の場合は例外となります。
- 評価基準以下であることが明確であるもの
物質の性状等から判断して、最大注入率で添加しても評価基準以下であることが明らかであることが、合理的、客観的に証明することができる根拠があるものについては、試験を省略しても差し支えないこととする。 - 浄水処理のため意図的に加えるものの主成分(水道が有すべき性状に関連する項目のみ)
鉄系凝集剤の鉄、硫酸銅の銅など、浄水処理のため必要な水道用薬品の主成分となっている項目については、試験を省略することができる。