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水中の未知成分(溶存有機物)把握のための試験


有機成分由来の水質悪化・処理能力低下を引き起こす有機物を、発生状況や処理状況などから、技術・経験を基に、最適な調査を実施させて頂きます。

工場排水などで有機物の含有による基準超過が発生した場合など、水中に含まれる物質を特定しようとすると多くの分析費用がかかることがあります。
クリタでは水処理技術で培った「水に関する知」により、物質を特定せずに水処理改善のためのデータを提供しております。

LC-OCD分析(有機炭素検出型サイズ排除クロマトグラフ法)

試料の溶存有機化合物について、サイズ排除クロマトグラフで分子の大きさ(大まかな分子量)別に分け、TOCを測定します。試料の溶存有機物の大まかな分子量を知るための分析となります。疎水性・親水性TOC成分の比率と、親水性有機物の分子量の分布を知ることが出来ます。

LC-OCDクロマトグラム
クロマトグラム

各分画のTOC一覧表

 ①サンプル②サンプル③サンプル
分子量
(プルラン換算※)
TOCTOCTOC
10000以上1.8%3.1%2.1%
10000-10003.0%5.2%1.9%
1000-1002.1%5.1%2.0%
100未満93.1%86.6%94.0%

※プルラン:標準物質となる水溶性の多糖類。
※試料中TOC成分は、通常、分子量の大きな成分から流出されるが、
試料中塩類濃度やカラム充填剤との親和性により分子量順に溶出しない場合がある。
※TOC(%)は、カラム通過後のTOC割合を示す。

【物質特定を希望の場合】

HS-GC-MS分析(ヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析法):定性・定量

試料の有機物を揮発させ、ガスクロマトグラフで分離し、質量分析部で質量に応じた分離・測定を行います。検出成分の定性分析・定量分析をするための装置となります。比較的低分子の揮発性有機化合物で熱安定性の高い物質に用いられます。

LC-MS/MS分析(液体クロマトグラフ-タンデム質量分析法):定量

試料の溶存有機物を液体クロマトグラフで分離し、質量分析部で質量に応じた分離・測定を行います。検出成分を定量分析することを目的とし、GC-MSと比較し難揮発性や熱安定性の低い物質の定量に用います。

活用事例

異常水の流入原因の特定

給水として再利用する回収水のTOC(全有機体炭素)値が管理値を超過し、異常な水の流入が疑われた。流入水をLC-OCDでTOC成分の分子量を調べた結果、大部分が低分子の有機物だと分かった。この有機物をGC-MSを使って特定し、各流入経路の水にどれだけ含まれるかを定量することで,流入経路を特定することができた。

膜閉塞確認のための膜処理前の分子量把握

工場で使う水の処理で、処理膜を通るときの流量が減っていた。処理前の水質をLC-OCDでTOC成分の分子量を調べた結果、正常時の水と比べて高分子の有機物が増えていることがわかった。これらの有機物の増加が、流量低下の一因であることを示す情報を提供することができた。

有機物除去性能確認のためのリーク物質の分子量把握

RO装置出口でのTOC値が通常より高く、TOC成分がリークしていた。運転状況を調べるために、TOC除去率とLC-OCDでTOC成分の分子量を調べた。その結果、RO装置からリークしている有機物の主成分は分子量200以下であることがわかった。TOC濃度やROの運転条件に問題があると考えられた。現在の運転条件では、ROや樹脂で除去しにくい低分子の有機物が漏れてくることが示すことができた。

生物処理試験への活用(生物処理による有機物分子量の変化確認)

設備調査で行った生物処理試験で、処理前後のTOC値を比べたところ、期待するほどの低下が見られなかった。LC-OCD分析でTOC成分の分子量を調べた結果、高分子の有機物は減少していたが、低分子の有機物は減少していないことが判った。生物処理の条件変更や他の処理方法を検討するための情報を提供することができた。
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当社で定量が可能な有機物の一例

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和名別名、略称CAS No.測定対象定量下限値
アセトンジメチルホルムアルデヒド
ジメチルケトン
2-プロパノン 
67-64-1水(用水、排水等)0.05mg/L
メタノールメチルアルコール、木精 67-56-1
イソプロピルアルコール2-プロパノール
イソプロパノール 、IPA
67-63-0
エタノールエチルアルコール
エタン-1-オール
酒精 
64-17-5
1,4-ジオキサンジエチレンエーテルジオキサン、
ジオキサン(1,4-)
ジオキシエチレンエーテル、
1,4-ジエチレンジオキシド、
1,4-ジオキサシクロヘキサン、
p‐ジオキサン 
123-91-1
プロピレングリコールモノメチルエーテル1-メトキシ-2-プロパノール
PGME
107-98-2
1-ブタノール1-ブタノール
n-ブタノ-ル 
71-36-3
プロピレングリコールメチルエーテルアセタート2-メトキシ-1-メチルエチルアセタート、
1-メトキシ-2-プロピルアセタート、
プロピレングリコール-1-メチルエーテル-2-アセタート、 PGMEA
108-65-6
シクロヘキサノンケトシクロヘキサン、
オクソシクロヘキサン、
ピメリンケトン 
108-94-1
エチル=3-エトキシプロパノアート3-エトキシプロピオン酸エチル、
エチル3-エトキシプロピオナート、
3-エトキシプロパン酸エチル、
4-オキサヘキサン酸エチル 、
EEP
763-69-9
エチレングリコールモノ-ノルマル-ブチルエーテル2-ブトキシエタノール、
ブチルセロソルブ、
エチレングリコールモノブチルエーテル、 2BE
111-76-2
2,2’-(メチルイミノ)ジエタノールN-メチルジエタノールアミン、
ジエタノールメチルアミン、
2-[2-ヒドロキシエチル(メチル)アミノ]エタノール、
MDEA
105-59-9
ジエタノールアミン2,2’-イミノジエタノール 、
DEA
111-42-2
2-アミノエタノールエタノールアミン、
モノエタノールアミン、
グリシノール 、
MEA
141-43-5
トリメチルアミンN,N‐ジメチルメタンアミン、
TMA
75-50-3
トリエタノールアミントリヒドロキシトリエチルアミン、
2,2’,2”-ニトリロトリスエタノール、
2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール 、
TriEA
102-71-6
水酸化テトラエチルアンモニウムTEAH77-98-5

テトラメチルアンモニウム ヒドロキシド
テトラメチルアンモニウム塩
水酸化テトラメチルアミニウム
N,N,N-トリメチルメタンアミニウム・ヒドロキシド、
TMAH
75-59-2
ジメチルアミノエタノールジメチルエタノールアミン、
N,N-ジメチル-2-ヒドロキシエチルアミン、DMAE
108-01-0
1-アミノ-2-プロパノールイソプロパノールアミン
2-ヒドロキシプロピルアミン
MIPA
78-96-6
2-メチルアミノエタノールN-メチルエタノールアミン、
N-メチル-2-アミノエタノール、
メチルエタノールアミン、
MAE
109-83-1
コリンCholine62-49-7
ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルプロピル プロピレン ジ グリコ-ル、
PFDG
29911-27-1
ジプロピレングリコールメチルエーテル1又は2-(メトキシメチルエトキシ)プロパノール、
メチルプロピレンジグリコール 、
MFDG
34590-94-8
2-(2-エトキシエトキシ)エタノールジエチレングリコールモノエチルエーテル、
エチルジグリコール、
DGEE
111-90-0
1-エトキシ-2-(2-メトキシエトキシ)エタンジエチレングリコールエチルメチルエーテル、
MEDG
1002-67-1
3-メトキシブチルアセテート酢酸3-メトキシブチル、
3-メトキシブチル=アセタート、
3MBA
4435-53-4
ジメチルスルホキシドジメチルスルホキサイド
BDG
67-68-5
ジエチレングリコールモノブチルエーテル2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、
DMSO
112-34-5
トリメチルアミンN,N-ジメチルメタンアミン
TMA
75-50-3
3-メトキシ-1-ブタノール3メトキシブタノール、
3-メトキシ-n-ブタノール
3MB
2517-43-3
2-(2-メトキシエトキシ)エタノールジエチレングリコールモノメチルエーテル、
DGME
111-77-3
トリエチレングリコールモノブチルエーテルトリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、
ブチルトリグリコール、
TGMB
143-22-6
N-メチル-2-ピロリドン1-メチル-2-ピロリドン、
NMP
872-50-4

*妨害物質等により下限値は上昇する場合がございます。